総入れ歯なんですけど



インプラントを埋めるとき、何本入れるのかは決まりがあります。
応力計算で考えると、失った歯の部分に対応した数を入れます。
1本失えば1本のインプラントを入れます。2本なら2本です。
では3本ではどうでしょう。
これは3本の場合と2本で済む場合があります。
4本、5本と増えてくると、逆にインプラントは少なくなっていきます。
1本のインプラントで2本の力を支ええることが出来るからです。

では総入れ歯の人にインプラントを入れる場合、最低何本が必要でしょうか。
4本あれば出来る方法があります。オールオンフォーと呼ばれる手法です。
顎の骨の丈夫なところに4本の長いインプラントを埋め込み、それに入れ歯を連結するのです。
骨とつながった入れ歯は、自分の歯と同じように咬む事が出来るようになります。

入れ歯を使ってはいますが、これでも立派なインプラントの処置なのです。
どうしても入れ歯が嫌だと言う場合は、やはり8本から10本のインプラントを入れなくてはいけません。
費用的にはオールオンフォーのほうが安く済みますが、完全な回復とはいえないので、入れ歯が嫌な人には出来ませんね。
オールオンフォーは技術的に難しい部分があるので、かなりの熟練の先生にお願いすることになります。

インプラントは骨に入れますので、充分な量の骨が無ければ、たとえオールオンフォーでも出来ないことはあります。
その場合は、まず骨を人工的に増やしてから行ないます。
このような術前処置も、難しい技術ですので、やはり専門医でお願いするのが良いでしょうね。

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古くからあります



インプラント治療はかなり古くから存在し、古くは古代ローマでも行われていた形跡が残っています。
当時は他人の歯を抜いて、自分の無くなった歯の部分に差し込んでいましたが、当然くっつくわけはありません。
科学的に臨床で利用されるのは、1960年代になってからです。

ウサギの実験中に偶然発見された、チタンが骨にくっつく性質から研究が始まりました。
そして現在は非常に有効な治療法として広く利用されています。

ですが、最初このころは今のようなシリンダータイプ(チューブのよな形)ではなく、ブレードタイプと言って、
薄い板状でした。
フォークのような形をしたチタンの板を、骨にスリット(溝)を掘って差し込んでいたのです。
歯茎の形や、細菌感染の問題を全く考えていない時代でしたので、臨床成績は非常に悪く、すぐに炎症を起こして抜けていました。
それでも、歯を失った人には朗報だったのです。

やがて感染の問題が分かってくると、一旦インプラント体を完全に埋めて治癒させ、その後で穴を開けて歯をつなげる二回法が考え出されます。
これにより成績が向上して、安定した治療法になってきました。

骨と口の中がつながる一回法は、早く終わるので楽ですが、感染症の問題がつねにあるので、リスクは高いです。
安全な二回法は、手術が二回必要ですし、その分費用も高くなります。
どちらが良いかと言うのはありませんが、経験のあるドクターなら、上手く使い分けできますね。

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チタンで出来ています



インプラントと言うのは、金属製の棒です。
そもそもインプラントと言う言葉は、”人工的な異物を生体に埋め込む”ことを意味しています。
材質はチタンと言う物質で、これは生物の骨と結びつく性質があります。

この性質が発見されたのは一つの偶然からでした。
ある科学者が、ウサギの体内温度を測るのに、温度計を何度も体内に差し込まずに測る方法は無いかと考えました。
そこでチタン製のパイプを体内に差込み、骨で固定したのです。
中空になっているので、中に温度計を入れることが出来ます。
数ヶ月後、実験が終了したのでパイプを取り除こうとしたら、骨と融合して取れなくなっていました。
これがチタンの骨との融合性質の発見です。

他の材質、例えば鉄などは体内に入れるとすぐに血液中の酸素と結びついて錆びてしまいます。
ステンレスでも長期間の間に腐食してしまうので、あとで取り除かなくてはいけません。。
しかしチタンは骨との結合により錆びずに安定した性質を保つのです。
すでにインプラント治療は50年近い治療成績があり、きちんと手入れを行なえば、一生涯使える治療となりつつあります。
現在、インプラントに利用されるチタンは、100%純粋なものから、性質を向上させるために合金にしていたり、その中身はメーカーによって違います。
また、表面性状が骨との結合、治癒の促進に大きな影響を及ぼすことも分かっています。

日進月歩で治療成績が向上しているので、基本的にはどのメーカーでも性能は変わらないと理解して下さい。

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